2013年08月04日

稿本天理教教祖伝逸話篇一九一 よう、はるばる

稿本天理教教祖伝逸話篇一九一 よう、はるばる

但馬国田ノ口村の田川寅吉は、明治十九年五月五日、村内二十六戸の人々と共にを結び、推されてその講元となった。時に十七才であった。これが、天地組七番(註、後に九番と改む)の初まりである。
明治十九年八月二十九日、田川講元外八名は、おぢば帰りのため村を出発、九月一日大阪に着いた。が、その夜、田川は宿舎で、激しい腹痛におそわれ、上げ下だし甚だしく、夜通し苦しんだ。時あたかも、大阪ではコレラ流行の最中である。一同の驚きと心配は一通りではなく、お願い勤めをし、夜を徹して全快を祈った。かくて、夜明け近くなって、ようやく回復に向かった。そこで、二日未明出発。病躯を押して一行と共に、十三峠を越え竜田へ出て、庄屋敷村に到着。中山重吉宅に宿泊した。その夜、お屋敷から来た辻忠作山本利三郎の両名からお話を聞かせてもらい、田川は、辻忠作からおさづけを取次いで もらうと、その夜から、身上の悩みはすっきり御守護頂いた。
翌三日、一行は、元なるぢばに詣り、次いで、つとめ場所に上がって礼拝し、案内されるままに、御休息所に到り、教祖(おやさま)にお目通りさせて頂いた。教祖(おやさま)は、赤衣を召して端座して居られた。一同に対し、
「よう、はるばる帰って下された。」
と、勿体ないお言葉を下された。感涙にむせんだ田川は、その感激を生涯忘れず、一生懸命たすけ一条の道に努め励んだのである。


<今現在できる、自分なりの「さとり」>
生野大教会初代会長・田川寅吉先生の御逸話です。
明治19年衣川弥兵衞という先生の伝える教理に感銘して、入信されたので、この御逸話までは、ご自身が大きな身上をたすけられたという経験は、無かったようです。


おふでさき

せかいにハこれらとゆうているけれど 月日さんねんしらす事なり (一四-22)

と仰せ下さいます。
コレラなど、流行の病をたすけられて入信された例は数多くあります。
コレラに限らず、あらゆる流行の病は、同じ思し召しがあると言えるのではないでしょうか。
月日ざんねん」というお言葉は、厳しい内容に受け取ることもできますが、親神様の思し召しをお知らせ下さる、貴重かつ重要な機会とも言えます。

この御逸話の中で田川寅吉先生は、すでに入信され、講元として活動されていますし、おぢばがえりも喜んで出立されたようですから、特に心得違いも見当たりません。
ではなぜ、コレラを疑わせるような、激しい身上を見せられたのでしょうか?

私は、あらゆる身上・事情の悩みは、親神様からの親心溢れるお手入れであり、ご褒美だと思っています。
もし仮に、田川寅吉先生に何の悩みもなく、何の苦労もなく、おぢばがえりをされたとしたら、後に大教会となるほど懸命に道を通ることはできなかったのではないでしょうか。
強烈とも言える苦しさと、それが不思議にたすかる喜びを味わえたからこそ、信仰の真剣さが生まれたのではないかと思うのです。
こうした視点から考えれば、このような苦しみを与えられたからこその生野大教会であり、そこに繋がる数え切れない人々のたすかりがあると言えるのです。

私の身の回りでも、修養科や各種講習会の受講中など、おぢばで見せられる身上・事情を通して、より信仰を深められる方を数多く見せられました。私自身も、修養科中、教養掛の御用中などに見せられた身上・事情によって、大きくお育て頂いたと思っています。
「こんなに頑張っているのに、こんなに喜んでいるのに、なぜこんなことが起こるのだろう?」と考えてしまうような、勇んでいる時に見せられる身上・事情にこそ、成人のきっかけがあります。これこそが、「運命が切り替わる時」なのです。

田川寅吉
生野大教会初代会長。
明治3年(1870)10月9日、現兵庫県朝来郡に生まれる。
明治19年衣川弥兵衞の伝える教理に感銘し入信、同年天地組七番講を結成した。
明治27年生野支教会長に就任。
昭和19年7月31日73才で出直した。

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posted by 朱夏 at 05:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 稿本天理教教祖伝逸話篇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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